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新型コロナウィルスで自宅軟禁。【駐在員の妻は見た!中国の教育事情】

2020.02.21

2018年より中国・広州に滞在中の4歳児ママです。独身時代は上海で暮らしたことがありますが、現地で子育てしてみると驚きと発見の連続。今回は、新型コロナウィルスに関連する動きをお伝えします。私自身は、偶然1月中旬に日本に帰国しており、渦中の中国にはいませんが、現地と頻繁にやりとりをしています。


臨時特別2号:新型コロナウィルスで自宅軟禁

1世帯につき、2日間に1回の外出のみ許可

今年の中国は、本来2月3日が仕事始めでした。しかし、政府の指示により広州・上海は2月10日、武漢はさらに後に延期されました。

春節のお祝いを送ると、地方に住む友達は「自宅軟禁だよ~」と嘆いていました。彼女の場合は、1世帯につき、一人だけが2日間に1回の外出のみ許可されるという状況でした。日本が渡航制限をする湖南省でも浙江省でもない、感染者数が比較的少ない都市です。

2月7日に広州で出された通達では、各マンション居住区(マンション10~20棟程度)への出入り時に必ず検温すること、37.3度以上の者は医療機関で検査を受けること、地区責任者は政府に連絡必須、と強調されています。そして、感染を避けるために「文化的、娯楽的な場所は閉鎖。会食や団体での活動は禁止。他人の家にも行ってはならない」とも書かれていました。以上の指示に違反すると罰則があります。外出の回数制限はありませんが、皆外出は極力控えています。

1-1封鎖された地区入口
封鎖された地区の入口の監視員
1-1封鎖地区入口での検温テーブル
封鎖地区入口の検温テーブル

2月10日以降も、ほぼ在宅勤務。もちろん、市政府の許可がおりなければ営業再開できません。初日は1.5時間勤務、2日目は3時間勤務、後半3日間は在宅という謎のシフトも存在しており、感染状況にあわせて、市政府が頻繁に詳細指示を出している模様。そして、2月12日には「外食禁止令」発令。デリバリーや持ち帰りはOKですが、店舗での飲食は禁じられています。なるべく人と話さず、ずっと家にいるか、出社してもまっすぐ帰宅し、ひとりまたは家族とご飯を食べて寝る、という生活です。うーん孤独すぎて、精神的に病みそう・・・。

教育機関は、3月初旬までは休暇延長です。香港では3月半ばまでの休みが決定。大陸中国からの移動に対して「強制検疫」を実施中の香港では、大陸からの学生の受け入れは5月7日以降とされており、大陸出身学生はそれまで通学できません。

あれは幻の便利さだったのか?

「他人の家に行ってはならない」「会食禁止」「地区封鎖」など、そこまで政府がコントロールするのか、と驚かれる方もいらっしゃるでしょう。でも、これが中国の現実です。SARSの時もそうでした。外国人を含め皆、仕方なく自宅軟禁、外出制限を受け入れています。今回は特に、違反すると厳罰と明記されています。

普段も、言論統制が行われている、監視社会だ、と海外からは批判されがちな中国。でも、平常時、一般市民はそんなに不自由さを感じていません。むしろ、スマホ決済が浸透し、ネット通販や宅配による便利な生活を謳歌しています。コーラ1本を目の前のコンビニで買うのと同じ価格で、運送料も払わず30分以内に届けてもらえるのです。地方からの出稼ぎ労働者が、低賃金で働くため、このようなサービスが成り立つという背景があります。私も、通販や宅配、外食デリバリー、タクシー配車アプリを愛用しています。

また、監視カメラがあるから、犯罪が減り、交通マナーが良くなったと考える人もいます。スマホ決済が増え、現金をもち歩かないので確かに窃盗が減りました。とはいえ、便利さと引き換えに、高度な個人情報を大手企業や政府に握られているのは事実です。違反や、私信でも政府批判をすれば、個人スコアが下がり、銀行口座を止められる、決済ができなくなるということもあります。

しかし、今年の春節後、広州ではデリバリーしてくれる店舗は以前の2割程度。ネットスーパーも、品薄。地方に帰った出稼ぎ労働者に支えられたサービスは、生産や物流の滞りもあり、なかなか元には戻らないでしょう。倒産や閉店も増加すると思われます。

写真1-2 スタバも店内飲食停止中。
スタバでも、店内飲食は禁止。

工夫を重ねて、営業続行中

そんな制限の中でも、たくましく外食デリバリーを続けるお店をいくつか発見しました。そのひとつ、吉野家からは、調理者・配達員それぞれの検温結果とその時刻が記された紙、感染防止の一言アドバイス付きで商品が届けられました。そう、確かにこの外出制限・外食禁止令は、外食デリバリーのかきいれ時でもあります。この表示を信じるかは別として、ここまでしないと顧客に安心を届けられないんだな、と複雑な気持ちになります。

この他、イオンも営業時間を短縮しながら開店しています。

写真1-3 吉野家のデリバリーサービス、検温確認付き
吉野家のデリバリーサービスでは、検温確認表を添付し、感染予防
「感染予防のため、衛生面に気を付けて、あまり外に出ないで、我々を使ってください」とのメッセージ付き。

こんなに制限の多い中で、子どもいる家庭はどうしているのでしょう。すでに1カ月は休みが延長され、学校再開時期は未定です。元気で健康な子どもたちが家から出られず、家族でぎゅうぎゅう詰めに……。想像するとぞっとしますが、実際のところを次回お伝えします。

profile

岡本聡子

2003~05年上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を株式会社アルクより出版。2018年より、広州へ駐在帯同中。4歳女児の母。防災士としてNPO活動も行う。

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