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コロナと不妊~先輩ママの経験談vol.4~

2020.05.22

このシリーズでは、二人目不妊外来を設けるクリニックのレポートや、不妊治療を受ける際のクリニック選び、男性不妊、出生前診断などについて先輩ママライターの目線からお届け。第4回は、「コロナと不妊」についてお話をします。


第4回 「コロナと不妊」

新型コロナウイルスが人類の生活様式を劇的に一変させました。今回はコロナがもたらした不妊や妊娠に対するインパクトについて考えたいと思います。

コロナ襲来により、社会的にも個人レベルでも、妊娠に対する意識が短期間で大きく変わることを余儀なくされました。

まず、不妊治療を受けていた人にとって大きな衝撃だったのが、2020年4月1日に発表された、日本生殖医学会の声明文です。同学会は「新型コロナウイルス感染の危険性がなくなるまで、または予防薬や治療薬が開発されるまで、不妊治療の延期を選択肢として提示していただくよう推奨する」という声明文を発表しました。

これを受け、現在進行している不妊治療の中断や、新規の患者さんの受け入れをしばらく延期することが予想されました。実際の対応は、患者さんの状況によって中断を勧める施設と、感染対策を施しながら新規の方も受け入れ治療を継続する施設と分かれました。

私がこの時期に取材したある産婦人科医によると、今回の声明文は日本生殖医学会と関連の深い日本産科婦人科学会にとっても寝耳に水の発表だったようで、「この声明を受け、患者さんが受診を抑制し、経営的に追い詰められている不妊治療施設が続発している」と話してくれました。

ツイッター上では「不妊治療は“不要不急”の扱いなのか」「予防薬や治療薬がないのは自然妊娠した方も一緒。それなら不妊治療だけでなく妊娠自体にストップをかけるべきでは」など批判的なコメントが殺到しました。

言うまでもないことですが、卵子の時計はコロナに関係なく進み、妊娠のタイムリミットは刻々と迫っています。限られたチャンスしかないなか、具体的なコロナの妊婦への感染率といった数字を出すことなく、突如「延期を」と言われても……。特に二人目不妊で年齢が上がっている女性にとっては到底納得できることではなりません。あまりに丁寧さに欠く乱暴な声明文です。ただでさえ出口の見えない不妊治療に対し、患者側にも施設側にも余計なストレスを与える結果になってしまいました。

なお5月18日、日本生殖医学会は「感染対策を万全にしたうえで、地域の感染状況や医療供給体制、患者さんの個々の状況を考慮したうえで、説明と同意のもと不妊治療の再開を考えてください」といった趣旨の新たな通知を出しています。

さて、こうした社会的な物議を醸した一件とは別に、感染防止のためにステイホームを迫られた期間、夫婦関係を改めて見つめなおした家庭も多かったのではないでしょうか。

自粛期間中は会社をはじめ保育園、幼稚園、学校も休校となり、夫婦そろって在宅ワークという「育児しながら仕事をすべし」というウルトラC級の超難題を突き付けられた期間でもありました。そして、こんな有事のときにこそ、普段の夫婦の家事負担の在り方やパワーバランスが如実に表れます。

妻に仕事があろうがなかろうが、相変わらず育児と3度の食事の用意を妻に押し付け、当たり前のように仕事に没頭する夫。自宅で過ごす我が子がうるさく、仕事にならないと怒鳴り散らす夫。休日も家にいるのに子供の相手をせずスマホばかりみている夫。

反対に、予想していたよりも家事育児に当事者意識をもって向き合ってくれる夫の姿を、ステイホーム中に再確認した方もいると思います。

この自粛期間中の夫の姿こそ、もしあなたが二人目を妊娠・出産し、てんてこまいになったとき、どれだけ積極的に家事育児にかかわってくれるかという未来の夫の姿を映し出しています。お互いに大変なときに、いかに相手を思いやり、気遣えるか。相手の本質がステイホーム中に浮彫りとなったわけです。

奇しくもコロナウイルスの到来によって、「あ、二人目いけそうかも」「こりゃ一生、旦那の育児参加は期待できないな」「二人目ができようができまいがうちはうちで幸せだな」「コロナが長期化するなら家族はコンパクトなほうがいい」など、これまで築いてきた夫婦関係を見つめ直し、また新しく芽生えた価値観から、次の妊娠に向け考えを改めた方も多いことでしょう。

中国では自粛中にベビーブームが起きたそうですが、今後、日本でコロナの前と後で、出生率がどう変わったかという研究報告も出てくるはずです。「コロナ離婚」が話題になったように、今後は「コロナ不妊」「コロナベビー」という言葉も生まれてくることでしょう。

内田 朋子

内田 朋子 (うちだともこ)医療ライター。

1977年山口県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、医療・介護専門の出版社を経てフリーに。自身の経験を活かし不妊治療、周産期医療、出生前診断、女性医療を中心に取材。『週刊文春woman』や不妊・未妊に向き合うサイト『UMU~不妊、産む、産まないに向き合うすべての女性たちへ~』などで執筆中。日本医学ジャーナリスト協会会員。不妊治療を経て三児の母。umumedia.jp

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